前回は、イザナミ母さん子供産みすぎ問題の章をお届けしました。
さて、イザナミ母さんは自分で産んだ「火の神カグツチ」のためにおまたを焼いて死んでしまいました。古事記・日本書紀(以下、記紀)の中では、ほと(女陰)を焼いて死ぬとか、ほとを突いて死ぬとか、けっこう多いんです。そこを焼いたり突いたり、さらにほとを強調しなくていいでしょうって思うんですけど。
そしてここから話は突然オカルトチックになります。
むかーしスマホのゲームか何かで、このイザナギイザナミを題材にしたオカルトゲームがありましたが結構怖かったです笑
さて。
イザナミは死に、黄泉の国(よみのくに・または根の堅洲国(ねのかたすくに)ともいう。死者の国のことをさす)へと行ってしまいました。
旦那のイザナギは怒りのあまりにカグツチを殺し、そしてどうしても愛する妻に会いたいと黄泉平坂(よもつひらさか)を通って逢いにいきます。
そしてようやく黄泉の国で奥さんと再開します。
「戻ってきてくれ!イザナミ!」
「ああ、もう少し早くきてくれれば……わたしはもう黄泉の国の食べ物を食べてしまったので帰れないのです。でも……黄泉の神に相談してみますね、それまで待っていてください。ただ、今のわたしの姿は恥ずかしくて見られたくないの。決して、私の姿を覗き見しないでくださいね」
でました。
昔話の常套句「覗かないでくださいね」
これはダチョウ倶楽部の「押すなよ、押すなよ」と同義語と言われています。
そして案の定、イザナギ父さん、待っているうちに我慢しきれなくなり、どうしても覗きたくなりました。
左の髪の毛に挿していた櫛の歯を一本折って火をつけ、イザナミのいる御殿へと入っていきました。
するとなんということでしょう。
そこにあるイザナミの体には、ウジがたかり、頭には大雷(おおいかづち)、胸には火雷、腹には黒雷、左手には若雷、右手には土雷、ほとには析雷と、左足には鳴雷、右足には伏雷、8つの雷神がいました。
「ぎゃーーーーーっ!!!」
イザナギ父さん、さすがに走って逃げます。
「みーたーなーーーーー!」
「ひいいいいいっ」
「よーくーもー恥をかかせたわねーーーー」
イザナギは地上へ向かう道を走って一目散に逃げます。
イザナミは黄泉醜女(よもつしこめ)という鬼を8人、イザナギに向かって放ちました。
「うぎゃーっ変なの追いかけてきた!」
「約束破るからよー!」
イザナギは身に付けていたカヅラを投げて抵抗します。カヅラは地面に落ちると、山葡萄となりました。
醜女たちは山葡萄を見つけると、しゃがんでむしゃむしゃと食べはじめました。
その隙に走っていくのですが、すぐに醜女たちは食べ終わり追いかけてきます。そのスピードたるや、ウサインボルト並み。
「もうきたっ!」
今度は髪につけていた櫛の歯を折って投げました。歯は地面に落ちるとたけのこになりました。
また醜女たちは筍を食べはじめました。
「あんたたち、食べてばっかりいないで追いかけてよ!んもうっ」
今度は自分の体にいた8つの雷神に1500の黄泉軍をつけ、イザナギを追いかけさせました。
「まーてー!」
「うわっまた変なのが山盛り追っかけてきたやん!」
イザナギは剣を後ろ手に振って応戦しますが、なかなかこれがしつこい。
黄泉比良坂の入り口まで来ると、桃の木が立っていました。
「こいつ投げたれ」
桃の実を3つ投げてみると……
「うぎゃーっっ!」
「あ、逃げていく」
雷神たちはたちまち退散します。イザナギは「これからも困っている人を助けよ」と言い、桃の実に「オオカムヅミ(大いなる神の実)」という名を与えました。
そしていよいよラスボス降臨、イザナミ本人が追いかけてきました。
「まーーーーてーーーー!」
「待つかーっ!」
映画もクライマックス!
すっかり体が朽ちて腐ったイザナミが追いかけてきます。
イザナギはなんとか大きな岩を動かし、黄泉比良坂に置いて塞ぐことに成功しました。
岩の向こう側からイザナミの声がします。
「あなた、おぼえてらっしゃい、これからわたしは、あなたの国の人を1日千人殺しましょう」
「それならわたしは、民を守り1日1500人の人を産ませるようにする」
こういうわけで、人間は1日1000人が死に、1500人が死ぬのです。(当時の人口なんでしょうね)
そして、イザナミは「黄泉津大神(よもつおおかみ)」となりました。
……というのが、オカルトパートです。
そのままストーリーを書いたのにも理由がありまして。
もし神社に行ったとして、こんなゾンビの人を拝んでどうするの?と思われるかもしれませんが、この話の裏にある本当のストーリーはなんだろうと考えると、イザナミは社会で1人立ち向かう女性の力になるに違いないと思えるのです。(わたしの解釈ですが)次回は、その辺りを追求してみます。