もういくつ寝るとお正月〜♪
お正月はお正月さまと呼ばれる神様を家にお呼びして一年の幸せを願う行事です…………
……なんていう一般的な情報は他にお任せするとして。
お正月ってなんぞや?
え、新しい年でめでたいってことじゃないの?
神道では生と死、新旧交代をイメージする行事がいくつもあるんです。
お正月もその一つです。
これを知ると、お正月を背筋伸ばして迎える気持ちになるかもしれません。
第一弾はお正月の意味です。
(本当は年神さまについて書いてたんですけど、お正月の意味だけで一回分になってしまったので、歳神さまはまた次回です)
お正月とは?
まずは一応、一般論から(笑)
お正月さま、年神さま、大年神、歳徳神、恵方神などなど、地域によっていろんな呼ばれ方をしますが、
この「年神さま」を家にお呼びして、秋に獲れた新米でおもちをつき、新しい命を共にいただき、新しく生まれた一年の平安を願うのがお正月です。
新しい命をいただく前には、その前に積もった穢れを祓わねばなりません。
暮らしの中では日々、家や身体や心にも穢れや罪が積もっていきます。それを大掃除で家を浄め、年越しの祓えで穢れを祓い、お風呂で身を清め、衣類も新しく変え、すべて新しくし、身も心も禊ぎをしたところで元旦に神様をお迎えします。
一年の間にたまった穢れをリセットし、新たな一年を迎えるってところがポイントです。
このように、神道の考え方の中には、死と生の繰り返しやリセットのイベントがあちこちに見られます。
こまかなところでは、日々の神棚のお供えや、半月に一度、お供えをあらためるところからはじまり、半年に一度行われる「夏越しの祓え、年越しの祓え」も、半年の間に積もった穢れを払う儀式です。
もっと大きな時間の流れでは、伊勢神宮の20年に一度の大遷宮もそうです。
出雲大社にいたっては60年に一度大遷宮が行われ、そのたびにお社を一から全部新しく建て直し、神様を移します。
その繰り返しで古くなったものを新しいものに入れ替えていきます。
常に新しい状態が保たれるわけです。
「生と死」がリンクする行事は、さらに天皇の代替わりでも行われているのではと言われています。
出雲大社の宮司さんは、代替わりの時に二つ布団が敷かれた部屋で儀式を行うそうです。
まずはじめの布団に寝て、一度人間の自分は死にます。そして次の寝所に移ると、そこから新たに起き出します。その瞬間まさに、御祭神の魂を受け入れ、生まれ変わるんですね。
この儀式は恐らく天皇家でも行われているのではないかと出雲大社の宮司が記した「出雲大社」という本に書かれています。
正月に天皇が行う行事「四方拝」とは?
お正月は「歳旦祭」と呼ばれ、天皇は朝早く太陽が登る前から「四方拝」を執り行います。
北極星からぐるりと四方の神々を拝み、伊勢神宮など主な神社に対して拝みます。
ウィキ情報なので私の方で未確認ではあるのですが、明治以前、天皇は四方拝に際して以下の祝詞をあげていたそうです。
この拝礼のとき、天皇は独特の言葉(呪文)を唱えた。それは『内裏儀式』・『江家次第』によると次の通りである。
(賊寇は必ず我が身を通して下さい)
毒魔之中過度我身(毒魔は必ず我が身を通して下さい)
毒氣之中過度我身(毒氣は必ず我が身を通して下さい)
毀厄之中過度我身(毀厄は必ず我が身を通して下さい)
五危六害之中過度我身(五危六害は必ず我が身を通して下さい)
五兵六舌之中過度我身(五兵六舌は必ず我が身を通して下さい)
厭魅之中過度我身(厭魅は必ず我が身を通して下さい)
萬病除癒(民のあらゆる病は、除かれ、癒やされますように)、
所欲随心(民が欲することは、心のままに全てかないますように)、
急々如律令(この旨、すみやかに、律令のごとく正確に・しっかりと行われますように)
by Wikipedia
つまり
「この世で起こる様々な困難は我が身を通して下さい。全て私が引き受けるので、国民をお守り下さい」
と、天皇がまずはあらゆる困難は自分を通せという言葉。
とはいえ、明治以降この言葉は儒教的であるとして廃止されているようなんですけどね。
今の天皇陛下がどのようなこの言葉を唱えているかは、非公開のためわかりませんが、正月の早朝から四方の諸神祇を拝して、世の安寧を願ってくれていることは確かです。
※当初天皇が現在引用の呪文を述べている旨書いていましたが、明治に入ってから廃止されたと訂正しました。
全てが生まれ変わる正月
太陽も、冬至で一度死に、新しく生まれ変わって新しい一年へと向かいます。
私たちも新たに生まれ変わって、新年を迎えます。
穢れを祓い、世の平安を願うのがお正月の意味です。
この一年、いろいろあったと思います。
穢れやモヤモヤは今年のうちに祓い落として、来年に向かっていきましょう!
というわけで、お正月にみなさん初詣に行かれると思いますが、
祓い清める意味と、神様へのお礼の意味で年末にいくのもお勧めしますよ。
ではでは。