今回は オオヤマツミ、山の神さまです。
あ、「山の神」と言っても箱根は走りません。
山の神は、お酒の神様でもあり、源頼朝や瀬戸内水軍に愛された武神でもあり、多くの神様の父でもあり、GHQから神社を守った神でもあります。
今回はGHQも出てきてなんのこっちゃ⁈だけど、偉大な山の神オオヤマツミに迫ります。
大山祇神てどんな神さま?
『古事記』では大山津見神、『日本書紀』では大山祇神、他に大山積神、大山罪神とも書かれます。
最大限シンプルにいえば、
大いなる山の神様、
それがオオヤマツミです。
古事記では、イザナギとイザナミの子供とされます。
日本書紀では、イザナギとイザナミの神産みの際、イザナミが死んでしまった原因のヒノカグツチを、イザナギが斬り殺した時に生まれた神様とされています。
あまり古事記や日本書紀に目立った形で登場しないんですけど、日本神話に登場する多くの神様の父でもあることから、そこかしこにちょこちょこ出現。存在感が隠しきれない神さまです笑
そのオオヤマツミを祀る神社は全国でなんと4000社以上!
すごいな、さすがオオヤマツミ!
一時期「大山講」(大山さんに詣でるグループ)が出来たほどだから、人気あるんです。
オオヤマツミは、それぞれの時代に、さまざまな形で仰がれてきました。
そのひとつが、武神。
もうひとつが酒の神です。
さらになぜか、なぜか海の神でもありました。
さらにさらに、冒頭でも言いましたが、戦後はGHQからも日本を守ってくれたんですって。何があったんでしょうね。
山の神、オオヤマツミ
まずは山の神としてのオオヤマツミについて解説します。
山の精霊を神格化したのがもともとのオオヤマツミの姿です。
みなさん山を見ると何か感じませんか?
わたしは静岡に住んでいるんですけど毎回富士山を見て感動します。
幼稚園児の頃から富士山大好きです。
中学生のころ住んでいた鹿児島では桜島の噴火におののき、数年前に行った長野県の雄大な雄々しい山々には感動しました。
山は、そこにあるだけで偉大!そう感じずにはいられません。
そして、また一筋縄ではいかない部分もありますよね。だからこそますます山に惹かれてしまうのは、私だけではないはず。
自然とともに生きた古代の人であればなおさら、山々に畏怖を感じていたでしょう。
四季折々の姿を見せる美しい山、
自然の恵みを分けてくれる山、
時に火山として噴火する山、
川が氾濫し暴れる山、
神話ができるもっともっと前から山の神は神格化されていました。
それが山岳信仰となり、山の神として祀るようになった起源です。
山の神は川へと降り、田畑を豊かにする田の神の性格も持ち、さらに海にも広がっていきました。
そのためかオオヤマツミは海の神の側面も持ちます。
山と徹底していないところが、さすが日本の神様です笑
山の神、川の神、海の神、林業の神、田畑を潤す田の神……いろんな側面があって一見存在がはっきりせずアイマイモコなんだけれど、山々と共にくらす日本人の暮らしの根底に根ざしているのが、オオヤマツミの姿なんです。
武神、勝利の神、オオヤマツミ
中世になると武神として、かの源頼朝や、瀬戸内水軍に崇敬されました。
オオヤマツミが御祭神の神社で有名なのは三島大社。
かの源頼朝が源氏再興を祈願して願いが叶ったことでも有名です。だから勝負に出た時の武運たるや!ハンパない神さまです。
それから愛媛県大三島町に鎮座する大山祇神社。こちらは瀬戸内水軍により海の神として武運長久のご利益があると崇敬されていたんです。(山の神なのに……)
この神社には源義経や木曾義仲が奉納した鎧なんていう国宝が宝物館にあるので一見の価値あり。
海でも山でも、勝負に命をかける男たちに愛された、それがオオヤマツミでした。
神々の父
古事記や日本書紀に登場する神様の「父親」としてあちこちに登場します。
「アシナヅチ・テナヅチ」の父。
誰やねんと思われるでしょうが、スサノオの奥さんクシナダヒメの親が、「アシナヅチ・テナヅチ」と言います。オオヤマツミはその親とされます。つまりはスサノオの義理のおじいさんなんですね。(え、オオヤマツミはイザナギの子どもでしょ?スサノオもイザナギの子どもでしょ?相関図にすると、おかしくない?とか言わないの)
「コノハナサクヤヒメ」の父。
桜の花の女神、その名の通り、花のように美しい女神様が、コノハナサクヤヒメ。
またサクヤ姫については詳しく書きますが、サクヤ姫とその姉イワナガ姫の父親です。
サクヤ姫は初代神武天皇の奥さんなので、天皇家の外戚……つまり天皇のおじいちゃんでもあるってわけですね。(だから相関図を書くと、わけわからなくなります。つっこまないように)
山岳の神八柱の父
天之狭土神(アメノサヅチ)、国之狭土神(クニノサヅチ)、天之狭霧神(アメノサギリ)、国之狭霧神(クニノサギリ)など八柱の山岳の神の父でもあります。
酒の神
コノハナサクヤヒメが、(のちに天皇になる)ヒコホホデミ(山幸彦)たち三人を産んだ時、オオヤマツミは孫の誕生をめちゃくちゃ喜び、天甜酒(あめのたむけさけ)を醸して、神々にふるまったそうです。
そこからオオヤマツミを酒解神(さけとけのかみ)、娘のコノハナサクヤヒメを酒解子神(さけとけのこのかみ)と呼び、ともに酒造の祖神となっています。
いわばギリシャ神話の酒の神デュオニソス、ローマ神話のバッカスってところですかね。
酒造の神社として有名な松尾大社のオオヤマクイと同じ神様とも言われています。
GHQから日本を守った?
八木龍平さんの『最強の神様』によると、第二次世界大戦で敗戦した日本を調べていたGHQは、神社の存在を大いに危惧していたそう。
これはヤバイ。潰さなあかんと。
国家と神社を分離する指令を出していたところ、とある神童学者の働きかけで、GHQの幹部らが大山阿夫利神社(オオヤマツミが御祭神)を訪問、思い切り幹部たちをもてなしたそうです。
その後神道は戦争の原因ではないと判断され、今神社があるのは、オオヤマツミのおかげだということです。(いや、神社の人たちのおもてなしのおかげって話もあるけどね笑)
神さまのご利益は?
山のように大きく、そして海のように深いお心をお持ちなので、あなたを無条件で受け入れてくれます。
すべてを委ねて大丈夫。
そしてビジネスを立ち上げる時のように何かにチャレンジする時、立ち向かう時、力強くバックアップしてくれます。
お酒は……きっとあなたが何かを成し遂げた時、一緒に飲んで祝ってくれるでしょう笑
そんなおおらかな懐の深い神さまです。
おすすめの職業は?
林業、農業、海運、チャレンジする人にも。
基本オールマイティ。
山登る人、キャンプする人みんな拝むべき神さま。
酒造、酒屋、飲み屋、お酒を扱うお店なども。
オオヤマツミを祀る神社
参考図書
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